ヌビについて of gurim


sign20-2083R83s815B.jpg木版画とヌビの工房

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一針一針、手縫いのあたたかさ


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ヌビは韓国の伝統衣服のひとつで、綿を入れて防寒用に作られるものです。モンゴルが発祥の地とされ、西に行って「キルト」になり、東に行って「ヌビ」になったといいます。僧服などに残っていたものが韓国の人間国宝「金海子」さんたちによって蘇りました。それは一針一針長い時間をかけて作られていきます。その筋目が田圃の畝を思わせるところから豊穣の祈りにもつうじるとか。


二〇〇一年、ソウルに滞在していた時です。八月の末のある日、三清洞をあるいていて偶然に「金海子누비」の看板をみつけたのです。それは景福宮の建春門の向かい側にありました。窓に飾られたみごとなトゥルマギに誘われるようにドアを押していました。

建春門

秋のはじめから三月の末まで、ヌビ作家、金 海子さんのソウルのアトリエ・ギャラリーでヌビを教わりました。手ほどきをして下さったのはユンさんです。「いつでも、時間のあるときにいらっしゃい」という信じられないような言葉にあまえて通ったのです。

ヌビ工房

完成をみないチョゴリをもって日本に帰る私に、ユン先生は「いつでもまた持っていらっしゃい。つづきをやりましょう。」とおっしゃるのです。六年後、ヌビに興味をもった人たちとユン先生の工房を訪ねました。二〇〇八年の四月にはユン先生を大阪に招きました。

三清針線工房

きっぱりとしていて、かざりけはないけれど、あたたかさのある手縫いのヌビにすっかりはまってしまいました。
最近作った袱紗です。インド茜で染めました。

袱紗

2010年5月のソウル。カンアク区にあるキルサンサ(吉祥寺)というお寺に行きました。上階が本堂のような祈りの空間で、階下が「文化空間 チデバン(頭陀袋の房)」になっていました。そこで、ご住職から三十年以上使っているというヌビの上着を見せていただきました。デザインも色もよく、なによりも使いこまれた感じがすばらしいものでした。


スニムの衣

ミシンで作るヌビは、手ヌビとはまた違った風合いがあります。タイで作られた手紡ぎの糸をつかった綿布は柔らかな手触りで温かみがあります。樫の枝葉や小鮒草、桑の葉など家のまわりにある草や木で染めました。ティーマットに使うことを考えて作りました。


ティマット

手提げ袋をつくってみました。ソウルの広蔵市場で買ったコリアンシルク。取っ手は樫の鉄媒染と古布。好みの飾りをつけると引き締まります。椿の木彫りのブローチは但馬木彫のもの。


袋

2011年夏、安東に移られたユン先生を訪ねた際、藍染めのチェ先生の研究所で体験学習をすることができました。泥藍をつくり、それを発酵させて深い色をつくります。安東でつくられるサンベという麻布をおしみなく使われています。


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2011年冬。ユン先生の工房をたずねました。パヌルコジをつくることで、ポジャギの針の使い方をまなびます。
極寒の安東。オンドルの温かさがうれしい。冬もいいものです。


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洛東江のほとりの破平尹氏の村。2012年6月、ユン先生がここに移られました。ソウルから高速バスで安東まで3時間。バスを乗り継いで1時間、のどかな田園地帯は夏をむかえていました。
工房も、チムソン(針線)の講習ができる場所も定まり、「いつでもいらっしゃい」と笑顔でおっしゃいます。


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ユン先生の工房でセクシルヌビを教わる。ソウルで金潤善さんのセクシルヌビの展覧会をみて感動していたころと前後する。木綿を植物染料で染めて制作。


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2013年ユン先生は安東に工房を移されます。「雨花針線工房」と名付けられた工房にうかがいました。安東の鉄道駅まで散歩すると20分ぐらいのところ。先生は最近乗り始めた車でバスターミナルまで迎えに来られます。朝から晩まで泊りがけでヌビを教えてもらいます。


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2014年の晩秋、ユン先生の工房を訪ねました。今回Fさんはヌビのチョゴリを作ります。モクトリ(襟巻き)からいよいよ本格的な衣服の制作です。安東は盆地、朝晩は厳しい冷え込みだが突き抜けるような青空の日が続く。


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2014年の秋、岡山の石原田園ギャラリーで「アトリエ・求里畝の仕事展」をひらく。やっとヌビのコートができあがる。ベストなどの衣服やポジャギなど、韓国の針と糸の手仕事を展示する。興味を持つ方が多く来場され、交流の場となった。


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2015年3月、大阪、箕面市でヌビの展示会を開く。アトリエ求里畝に集まってヌビをしてきた者たちの作品と、安東のユン先生の作品を展示することにして昨年の秋初めから準備にとりかかった。会場は、「自然素材の家」。自然素材を使ってリホームをする会社のショールームをお借りした。ワークショップもできる空間で、棚や壁面にヌビやポジャギなど韓国の針線工芸の作品を展示。販売も。


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韓国、安東からユン・ピョンオク先生を迎えてワークショップ。ヌビのモクトリと袱紗を制作。ホームページなどで参加者を募集。連日多くの方が熱心にユン先生からヌビの講習を受ける。韓国の針線工芸に長く関わっている方が多く参加された。東京、埼玉、福井、岡山など関西以外の遠方からの参加者があり、アトリエ求里畝の面々、感謝と感動。一週間の会期中、ヌビに関心をもたれている方が次々と会場を訪ねてこられ、ユン先生やアトリエ求里畝のスタッフと交流できたことは大変有難いことでした。


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鶴橋のコリアタウンにある「蓮(ヨン)カフェ」さんからお誘いを受けて2015年10月ヌビを中心とした展示会とワークショップを開いた。数年前から交流のあるソウルの伝統ヌビ研究会「チムヒャン」の作品と一緒に展示。ソウルのインサドンにあるような空間。春の箕面につづいて来てくださった方や多くの方にお出でいただいた。感謝。


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安東の藍染め作家 崔玉子さんのところではじめて韓国vの藍染めを体験してから5年が経つ。蓼藍から泥藍をつくり発酵させるやり方である。借りている田圃に藍を植え刈り取り泥藍を作り、やっと発酵させることに成功した。


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麻と木綿はきれいに染まる。淡い青から染め重ねて濃い藍のいろまで藍の諧調を楽しむことができる。明紬はむらなく染めるのが難しい。まだまだ課題が山積みである。


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2016年12月、尹先生の仁川「官洞ぎゃらりー」でのヌビ展に行く。「官洞ギャラリー」は戸田郁子さんが主宰するギャラリー。仁川の旧日本人街にある日本家屋を再生したギャラリー。


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2017年10月、岡山の石原田園ギャラリーでアトリエ・求里畝の木版画とヌビを展示。アトリエ・求里畝のヌビ部のみなさんの力作がならぶ。韓国のヌビ作家とつながりができ、それぞれにソウルに出かけて教えを請い、ヌビができあがっている。


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2017年12月、ソウル仁寺洞の耕仁美術館でヌビを展示。交流のある韓国伝統ヌビの研究グループ「針香」の第6回の展示会に参加させていただいた。2階の壁面に「アトリエ・クリム」のヌビを展示。ありがたい。


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2018年2月、神戸「海外移住と文化の交流センター」で開かれた写真展『白衣の暮らし』に尹先生の韓服が展示された。ヌビのワークショップも会期中おこなわれる。


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2018年3月29日から4月1日まで京田辺でヌビの展示会。京田辺の築300年の古宅をお借りする。例年になく暖かく桜が満開の季節に開催となる。交通の不便な場所にも関わらず、全国各地からご来場くださり、有り難い気持ちでいっぱいになる。


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京田辺の展示会は、2017年12月にソウルでおこなわれた「針香」の展示会を日本でもやりましょうという企画である。会期中ソウルから「針香」のメンバーが来日された。


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